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ある事業年度に計上した法人所得の赤字分を、翌年度以降に計上した法人所得の黒字分から控除して、法人所得税の計算ができる制度のことを繰越欠損金といいます。

そこで、以下では、この制度の概要や注意点について解説します。

法人税の繰越欠損金制度について

繰越欠損金とは、ある年度に発生した所得の赤字分を翌年度以降に発生した所得の黒字分から控除できる制度のことを言います。

例えば、第1事業年度に1,000万円の赤字を計上し、第2事業年度に500万円の黒字、第3事業年度に800万円の黒字を計上したとします。

法人税率を30%とすると、繰越欠損金が認められない場合には、第1事業年度には法人所得税はかかりません。

しかし、第2事業年度には500万円×30%=150万円、第3事業年度には800万円×30%=240万円、合計390万円が課税されます。

一方、繰越欠損金の控除が認められた場合には、第1年度の赤字分を、第2、第3年度の黒字から控除して税額を計算できます。

よって、第2事業年度は500万円から1,000万円を引きますので、所得が0(-500万円)となり、法人所得税は発生しません。

第3事度は、第2年度では引ききれなかった第1事度の赤字分を第3年度の黒字分から控除できるので、第3年度の所得は800万円-500万円=300万円となります。

よって、第3年度の法人所得税額は300万円×30%=90万円となります。

上記の3事業年を通算すると、繰越欠損金が認められなかった場合、法人所得税額は390万円となりますが、繰越欠損金が認められた場合にはその金額は90万円となります。

繰越欠損金制度を利用する際の注意点について

繰越欠損金を利用するためには、法人所得税の確定申告を青色申告で行う必要があります。

青色申告とは、日々の記帳による複式簿記に基づく会計帳簿から作成された書面で確定申告を行うことを言います。

会社を設立した場合、一定期間を通算して法人所得税の計算ができる繰越欠損金を利用できると節税対策として非常に有効ですので、確定申告は青色申告を是非選択すべきです。

また、平成20年4月1日以後に終了した事業年度から平成30年4月1日前に開始する事業年度においては、通算できる期間は9年間となっています。

よって、現時点(平成29年2月)を含む事業年度に発生した欠損金(赤字)については、その後、9年以内に開始する事業年度の所得の黒字分から控除することができます。

なお、出資金額や資本金額が1億円以下等の中小法人に該当するには、ある年度に発生した繰越欠損金の100%を翌事業年度以降に発生した所得の黒字分から控除できます。

しかし、上記の中小法人に該当しない場合には、控除で金額は、欠損金の発生した事業年度の開始時期に応じて、その事業年度に発生した欠損金の50/100~80/100となります。