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株式会社を設立する場合には、設立時の資本金額を決めなくてはなりません。

そこで、株式会社を設立して起業しようする場合に、その資本金をいくらぐらいに設定すればよいかについて、解説します。

最低資本金制度の廃止について

平成18年5月に施行された会社法によって、最低資本金制度は廃止されました。

最低資本金制度が廃止される前は、資本金額を1,000万円以上としないと、株式会社を設立することはできませんでした。

しかし、最低資本金制度が廃止された現在、株式会社設立時の資本金額に制限はなくなり、資本金額1円でも株式会社を設立することが可能となりました。

従って、株式会社設立時の資本金をいくらにするかということについて法律上の定めはなく、起業する方が自由に定めることができるのが原則です。

資本金1,000万円の壁について

起業時点での株式会社の資本金が1,000万円を超える場合には、消費税の課税事業者となり、開業年度から消費税の申告・納税が必要となります。

一方、資本金を1,000万円以下に設定した場合には、一部の例外を除いて、最低でも、開業事業年度とその翌事業年度は消費税非課税事業者となることができます。

起業時点から、資本金を1,000万円以上としておくと、消費税は法人が赤字決算でも、消費税課税売上高が同課税仕入高を上回る限り課税されますので、税負担が大きくなります。

従って、開業時点の資本金額を1,000万円以下で設定するということは、開業時の資本金額をいくらにするかということについての、判断基準の1つとなります。

資本金1億円の壁について

資金に余裕のある方が起業する場合には、資本金1億円超で起業できる場合もあると思います。

しかし、資本金額が1億円を超えると、法人税法上の中小法人の軽減措置が受けられなくなります。

この軽減措置とは、資本金1億円以下の中小法人の場合、法人所得が800万円までは税率が15%、800万円超の部分について25.5%とするものです。

ちなみに、資本金1億円超の法人には、法人所得のすべてについて25.5%の法人税率が適用されます。

また、交際費については、資本金1億円超の法人については、法人税額の計算に際して、その全額を必要経費(損金)に計上することはできません。

しかし、資本金1億円以下の中小法人の場合、原則として、800万円まで、法人税額の計算において、交際費を必要経費(損金)に計上できます。

起業時点で資本金を1億円以上に設定できるというのは、極めて稀なケースだと考えられますが、その場合でも、上記の理由で、資本金額は1億円以下に設定したほうがよいです。

現実的な資本金額はいくらか

会社代表者が設定して資本金額は登記簿に記載されて、一般に公開されます。

従って、いくら1円で株式会社の設立が可能だといっても、資本金が1円では、登記簿を見た取引先や銀行等に信用されません。

そこで、実際に営業を行っている株式会社であると公衆に認知されるためには、ある程度の資本金額を設定する必要があります。

例えば、事業主の種別にもよりますが、個人事業主として開業する場合の開業資金は、開業費+3か月分の運転資金で、100万円〜300万円程度必要だと言われています。

株式会社の場合も、資本金の金額は、会社設立時の費用と、当面の間(3カ月から6ヵ月程度)の運転資金を合わせた金額を基準として定めることに違いはありません。

また、株式会社は、個人事業主よりも規模が大きいですし、開業時に株式を発行して他人から資金を調達することも可能です。

よって、設立する株式会社が行う事業の種類にもよりますが、300万円以上1,000万円未満が、株式会社設立時の資本金の金額として、妥当な水準であるということができます。

株式会社の開業時の資本金額の重要ポイントは500万円と1,000万円

なお、許認可の関係で、会社設立時点で、一定以上の資本金を用意しなければならない場合もあります。

例えば、建設業の場合、公共工事の入札に参加する許可を受けるためには、資本金が500万円以上なくてはなりません。

また、日本政策金融公庫の創業者融資は、資本金の2倍までが融資上限となっています。

そこで、例えば、1,000万円の創業者融資を受けたい場合には、資本金は500万円とする必要があります。

なお、消費税の課税の観点から、資本金額が1,000万円以下の方が望ましいことは前に述べたとおりです。

この点については、法人住民税の均等割の金額も、資本金額が1,000万円を超えると税額が上がるので、この点からも、資本金額は1,000万円以下とすべきです。

第三者からの借入金は資本金には含まれない

なお、起業に当たって、第三者から融資を受ける場合があります。

しかし、他人から融資を受けた借入金は、他人資本として、自己資本である資本金には含まれませんので、注意が必要です。