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法人税は、法人所得に対して課税されるのが原則ですから、法人所得が赤字であれば、法人税は課税されないように考えられます。

では、実際には、どうなっているのでしょうか。以下では、この問題について考えます。

法人が赤字の場合でも法人税の支払いは必要

法人税というと、法人所得税がすぐに思い浮かべられますが、法人税は、法人所得税、法人住民税、法人事業税の3つの税から構成されます。

このうち、法人所得税と法人事業税は、法人所得が課税標準ですから、赤字で法人所得がない場合には、課税されることはありません。

一方、法人住民税には、基本的には、所得税額を課税標準とする法人税割と、所得にかかわりなく課税される均等割の、2種類の税金があります。

法人割の方は、法人所得がなくて納税すべき法人税額がない場合には、発生しません。

しかし、法人住民税の均等割の方は、法人所得にかかわりなく、課税されます。

従って、法人が赤字の場合でも、法人住民税の均等割は納税義務が生じますので、結論として、法人が赤字の場合でも、法人税の支払い(法人住民税の均等割)は必要になります。

法人住民税の均等割の税額について

法人住民税の均等割の税額については、各都道府県がそれぞれ定めていますが、例えば、東京23区に主たる事務所のある法人の場合には、その税額は、次のようになっています。
・資本金1千万円以下かつ従業員50人以下        70,000円
・資本金1千万円以下かつ従業員50人超         140,000円
・資本金1千万円超1億円以下かつ従業員50人以下    180,000円
・資本金1千万円超1億円以下かつ従業員50人超      200,000円
・資本金1億円超10億円以下かつ従業員50人以下     290,000円
・資本金1億円超10億円以下かつ従業員50人超      530,000円
・資本金10億円超50億円以下かつ従業員50人以下     950,000円
・資本金10億円超50億円以下かつ従業員50人超   2,290,000円
・資本金50億円超かつ従業員50人以下        1,210,000円
・資本金50億円超かつ従業員50人超         3,800,000円

当期利益と法人所得について

会計のルールによって作成される損益計算書上の当期利益が赤字である場合でも、その当期利益がそのまま法人所得になるわけではありません。

実際の法人税の計算の際には、当期利益に申告調整という調整を行い、調整後の価額を法人所得とします。

申告調整とは、当期利益に、会計のルールでは経費になるが法人税法では経費(損金)にならない損金不算入と、会計のルールでは利益にならないが法人税法では利益(益金)となるものを加算します。

一方、会計のルールでは利益になるが、法人税法上は益金にならない益金不算入と、会計のルールでは経費にならないが、法人税法上は損金とされる損金算入を当期利益から減じる手続きのことをいいます。

この申告調整があるため、当期利益が赤字でも法人所得が発生する場合もあるし、反対に、当期利益が黒字でも、法人所得が発生しない場合もあります。

よって、法人所得税が課税されるかどうかの判断は、当期利益ではなく、申告調整後の当期利益(法人所得)で判断しなくてはなりません。