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法人所得を計算する際には、会計のルールに従って算定された利益に対して、申告調整という一定の計算を行い、法人所得を算定します。

さて、この申告調整の1つに損金算入がありますが、以下では、これについて解説します。

損金算入とは

損金算入とは、会計上は経費として計上されないが、法人所得を計算する際には、損金として計上する勘定科目のことを言います。

損金算入があると、会計上は経費とされないものが法人税の計算上は損金として計算されるわけですから、その金額分、会計上の利益金額が法人所得額を上回ります。

従って、会計上の利益から法人所得額を計算する申告調整においては、損金算入の金額は、会計上の利益から減算される金額となります。

ちなみに、申告調整で会計上の利益から減算されるものとしては、会計上は利益として計上されるが法人所得の計算上は益金として計上されない益金不算入があります。

繰越欠損金の控除について

損金算入の具体的な勘定科目には、繰越欠損金の控除が該当します。

これは、法人税の確定申告を青色申告で行う法人が、ある事業年度に赤字(欠損金)を出した場合に、その事業年度の終了後9年以内に開始する事業年度の法人所得から、その欠損金の価額を控除できるというものです。

会計上の損益計算では、法人がこの制度を利用して繰越欠損金の控除を行ったとしても、その価額が経費に計上されることはありません。

それは、会計ルールでは、そのような制度は存在しないからです。

一方、法人税法上は、繰越欠損金は損金として法人所得から控除できます。

その結果、繰越欠損金の控除額は、会計上は経費に計上されないが、法人所得の計算では経費(損金)として計上されることになるので、損金算入であるということになります。

繰越欠損金の控除の具体例

例えば、法人税の確定申告を青色申告で行うA社が、X事業年度(1年間)に100億円の欠損(赤字)を出したとします。

翌事業年度以降はA社の業績が回復し、X+1事業年度に50億円、X+2事業年度には20億円、X+3事業年度には30億円の所得(黒字)をそれぞれ出したとします。

繰越欠損金の控除がない場合には、X+1、X+2、X+3の各事業年度には、法人所得税の納税が必要になります。

法人税の実効税率を40%とすると、X社が支払うべき法人税額は(50億円+20億円+30億円=100億円)×40%=40億円となります。

しかし、繰越欠損金の控除を行うと、X期の100億円の欠損金(赤字)は、X+1期以降の3事業年度の法人所得(黒字)と相殺することができます。

そのため、X+1期以降の3事業年度に発生した法人所得に対して法人税は課税されず、A社は40億円の法人税を節約できることになります。

少額減価償却資産の損金経理について

青色申告をしている中小企業者等(原則として、資本金1億円以下の企業)が、30万円未満の減価償却資産を取得した場合には、その取得価額の全額を取得した事業年度の経費(損金)として計上することが認められています。

これを「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」といいます。

この特例を利用して法人税の計算上で、その取得価額を損金扱いとした場合には、その金額も損金算入に該当します。

なお、この特例を利用すると、会計上は、取得した減価償却資産の減価償却費を毎年費用計上する一方、法人所得の計算上は、その取得価額の全額を取得年度に一括して費用計上することになります。

そのため、減価償却資産の取り扱いが統一されず、その管理が難しくなるというデメリットが生じます。